コンプレッサーの仕組みについて調べていくと、その仕組みは複雑ですが、こちらの記事では、コンプレッサーの仕組みを分かり易く解説していきます。読んだ後には、しっかりと理解が深めて貰えるでしょう。
目次
コンプレッサーとは?
コンプレッサーは工作機械を使う際の装置です。
どんな装置かというと、日本語で「圧縮機」といい、圧縮した気体をタンクに貯め、それらを動力源としています。
コンプレッサーを身近に考えると・・自転車タイヤのポンプ
身近な物でコンプレッサーを分かりやすく理解するのに適しているのは自転車の空気入れです。
コンプレッサーの基本原理は自転車の空気入れと同じです。
それでは空気入れをイメージしてみましょう。
レバーを引き上げることで空気を吸い込み、レバーを下げることで空気がホースから出てきます。
一度吸い込んだ空気が空気入れのピストンで押し出されて空気の流れができます。
機械と聞くと複雑に感じますが、原理は極めて分かりやすいものになります。
圧縮の基礎
圧縮とはどういう意味か説明していきます。
これは、空気入れの出口となる部分を塞いで、吸い込んだ空気をピストンで押し出すと空気の体積が減少して圧力が上がることをいいます。
空気は圧縮されることで元に戻ろうとエネルギーを蓄えるわけです。空気入れに出口があれば、圧縮された空気はピストンにより大量に出てきます。
コンプレッサーの用途
コンプレッサーの用途は幅広く、圧縮されたエネルギーを使って様々な空気圧利用機器に活用されています。
その用途は幅広く、工作機械の駆動や金属加工、鉄鋼のプレスと加工、電子部品、半導体、精密機器の製造、食品加工、医薬品の製造、その他、遊園施設遊具の動力源などがあげられ、多様な現場で使用されています。
圧力について
「圧力」とは空気を圧縮することで元に戻るように力が生まれる力の強さのことであり、単位面積あたりの圧縮空気の力をいいます。
表記する単位としては現在は「MPa(メガパスカル)」とすることが多いですが、これまでは「kgf/cm」とされていました。
圧力には2つの考え方がありますが、1つは基準を絶対真空とした絶対圧力、もう1つは基準を大気圧としたゲージ圧力があります。
数値で表すと下記の通りです。
『絶対圧力』
大気圧・・・0.1014MPa
絶対真空・・・0MPa
『ゲージ圧力』
大気圧・・・0MPa
絶対真空・・・0.1013MPa
広く使用されている表記はゲージ圧力となっています。
一般的にコンプレッサーが圧縮することができる圧力は0.7
〜0.9MPaです。中圧と言われるコンプレッサーは1.0MPa以上を圧縮できるものも存在しますが、求めている設備に対して必要な圧力を確認して、その数値を上回るコンプレッサーを選ばなければなりません。
コンプレッサーの吐出圧力について
コンプレッサーの吐出圧力ですが数値や計算式についてはこちらの通りです。
標準使用の吐出圧力は0.7MPa
圧縮する程度は吸い込んだ空気に対し約 1/8で、絶対圧=真空基準で8気圧となります。
ゲージ圧で表すと7気圧で計算式はこちらです。
空気量について
機械のカタログやホームページ上に載っている空気量というのは、1
分あたりで吸い込む空気量です。
エンジンプロセッサーPDS100Sを例にしてみると空気量は100CFM(CFMはfit/minのこと)
立方フィート毎分の関係性
これらを踏まえると100CFMは下記の通りです。PDS100Sの毎分あたりの吸い込む空気量が分かります。
コンプレッサーとは〜種類別に仕組みと特長を理解しよう!
コンプレッサーは大きく3つの方式で空気を圧縮しています。
これから種類別に仕組みや特長をご紹介していきます!
スクリューコンプレッサー
スクリューコンプレッサーは回転式コンプレッサーとも呼ばれます。
ケーシング内のローターが回転し、ケーシングとローターの間で空気を圧縮します。
さらに詳しく解説すると、スクリューコンプレッサーには2種類「オイル式」「オイルフリー」があります。
スクリューローターの形状については変化はありませんが、オイル式は潤滑油が必要でそれぞれのローターが触れ合って圧縮した空気がでます。空気圧縮率に優れて、馬力とトルクも高いのですが、オイルの注入やメンテナンスが定期的に必要です。
一方、オイルフリーはその名の通りオイルは不要で、それぞれのローターが接触せずに圧縮していきます。メンテナンスについても非接触のため期間が長いのがメリットです。
綺麗な空気を提供できることから、食品や化学製品の機械に用いられることが多いです。
レシプロンコンプレッサー
レシプロンコンプレッサーとは往復式コンプレッサーとも呼ばれます。
価格も安価なので市場で最も流通しているタイプです。
仕組みとしては、シリンダー内のピストンをモーターによって往復運動させます。これにより容積が変化し空気を圧縮しています。主に小型〜中型のため大型を使わない製造工場で重宝されています。
スクロールコンプレッサー
スクロールコンプレッサーは特徴として空気の圧縮率が高く、音も静かです。
渦巻きの形をした装置を2つ配して、その内の1つは固定され、もう1つの装置は回りながら空気の圧縮を行っています。
スクリューコンプレッサーとオイルについて
スクリューコンプレッサーのオイル式についてはオイルを使用することについて触れましたが、オイルを必要とする2つの理由についてみていきます。
一つ目は金属接触の防止のためです。オイルによって潤滑油膜で摩擦を防いで、かじりつきやロックも防止できます。
二つ目は圧縮熱を取る媒体としての役割です。
これらにより、コンプレッサーは本体・機器のオイルの冷却も保たれるのです。
オイルについては、レシプロとスクリューで注意する点があります。
それぞれオイルの粘度が異なり、レシプロは粘度が高く粘り気があります。
スクリューは粘度が低く合成油です。
別の種類のコンプレッサーオイルのため混ぜないように注意しましょう。
特に高温状態で過酷な夏を過ぎたコンプレッサーは、風通しも悪いと冷却が行き届かず本体同様にコンプレッサーオイルも劣化しているため、継ぎ足しではなく入れ替えるようにして下さい。
エアコンコンプレッサーの仕組み
エアコンコンプレッサーの仕組みは、気体に高圧をかけ圧縮することで高音を発して液体になり、液化した気体から常圧で気体に戻って、熱を周りから奪う原理を利用しています。
簡単な例だと、注射の前のアルコール消毒を思い出して下さい。脱脂綿にアルコールを含ませ腕を撫でますが、液体の冷たさとは別に乾くタイミングでスーッと冷える感覚を感じませんでしたか。
これは潜熱や気化熱といって液体が乾くときにアルコールが気化して起こった現象で腕から熱を奪っているわけです。
また、家庭用エアコンは電力によって動きますが、車のエアコンは動力で稼働します。
エアコンコンプレッサーとは?
エアコンコンプレッサーはエアコンのための部品です。
エアコンは冷たい空気が出てきますが、そのためにはいくつかのサイクルが分かれていて冷却ガスを気化すること、液化を繰り返しています。
エアコンコンプレッサーはそのために必要なガスの圧縮のサイクルを担っています。
エアコンコンプレッサーで冷房ができる仕組み
こちらでは車のエアコンがどのような過程で成り立っているのか、車のエアコンの冷却システムから見ていきます。
【車のエアコンの冷却システム】
高温高圧の半液体になるようコンプレッサーでエアコンガスを圧縮
↓
コンデンサーを通り冷却
↓
低温高圧の液体になるよう、レシーバーで液化しきれないエアコンガスは分離、液化したエアコンガスから乾燥材、ストレーナで水分や不純物を取り除く
↓
低温低圧の気体になるようエキスパンションバルブの細かいノズル穴からエバポレーター内に噴射
↓
気体になったエアコンガスの気化熱でエバポレーターの温度は冷え、プロアファンをあてて冷風を作ることで、冷たい空気が車の中へ送られるようになる
↓
エアポレーターから出たエアコンガスがまたコンプレッサーに送られて、圧縮
このように循環してカーエアコンの仕組みは成り立っています。
エバポレーターの温度次第でエキスパンションバルブの噴射量は調整し、コンプレッサーの作動を切り替えたり、冷房を適正に利用するために制御がされています。
このためカーエアコンは不調がでた場合、サイクル内の一つを修理したり交換では直らないケースが多く、全てが繋がって能力を発揮するため部品の洗浄と交換が大切になってきます。
まとめ
ここまでコンプレッサーについて一通り説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
コンプレッサーの原理など基礎的なことからエアコンコンプレッサーのサイクルなど細かい所まで見たことで理解が深まりましたか?
コンプレッサーといっても種類が豊富で機械に合わせて確認すべき点が異なるため、気をつけていかなければいけません。
こちらの記事を読んで少しでも役立てて下さい。