消費電力が大きい家電製品の取扱説明書には「延長コード使用禁止」と記載されている場合が多いことを御存じですか? 電子レンジ、トースター、アイロン、ドライヤー、エアコン、電気ストーブ、こたつなどです。
特に電子レンジや炊飯器などの調理家電は消費電力が大きいので、ほとんどのメーカーが延長コードでの使用は避けるべきという方針です。
・・・とは言うものの、キッチンのコンセントは数が限られている場合が多いので、調理家電のコードがコンセントに届かないケースが多く、コンセントから離れた位置にしか調理家電を設置できない方には深刻です。調理家電に付属している電源コードの長さは1m前後ですから、どうしても延長コードが必要になるのではないでしょうか…。
では、炊飯器や電子レンジなどの調理家電にはなぜ延長コードを使わない方が良いのいでしょうか。
今回は、炊飯器や電子レンジと延長コードに関する疑問や解決策をご紹介します。
目次
延長コードのリスク
調理家電に延長コードを使う場合の最大のリスクは火災の原因になることです。
家庭用のコンセントは一度に使える電力量が限られています。それを「定格容量」と言い、1500Wに設定されています。
特に、炊飯器や電子レンジは消費電力が高いのですが(標準的には、炊飯器が約800W、電子レンジが約1200W)、他にもトースターやコーヒーメーカーなどキッチンにある調理家電には全般的に消費電力が大きいものが多く、それらを1つの延長コードで繋いで使った場合、定格電流を超えてしまいます。
定格容量を超えて使い続けると、延長コードの中のケーブルが燃えて火災の原因になることがあります。定格電流を超えるほどたくさんの家電製品を延長コードにつないで使用していたことで、火災を起こしてしまったという事例は実際に存在します。
火災の原因は定格容量だけではありません。
パナソニック 電子レンジ 22L フラットテーブル メタルブラック NE-FL222-K
1000Wインバーターの庫内フラット単機能レンジ。インテリアに調和するデザイン。
税込 “22,800”円
ホコリや湿気による発火
プラグをコンセントに差し込んだまま掃除をしないでいると、プラグの2本のピンの間に溜まったホコリや湿気が、熱によって炭化してピン間が導通して発火する現象(トラッキング)があります。
コードのねじれによる発火
長いコードには大きな負荷がかかり、ねじれやすくなります。(延長コードを接続して接続点が増えると負荷は更に大きくなります)。ねじれた部分は発熱が大きくなり、発火につながることがあるのです。また、長い延長コードの余った部分をグチャグチャにしていると、折れ曲がった部分に大きな負荷がかかり、火災につながることがあります。
コードの腐敗による発火
キッチンでは調理や洗い物をするため、延長コードに水がかかったり油が飛び散ったりすることがあります。そのため、コードが腐敗し、発火の原因になることがあります。
調理家電に延長コードを使う際の注意点
炊飯器や電子レンジに延長コードを使う時の注意点は以下のとおりです。
一口コンセントを使う
差込口が1つだけの「一口コンセント」を使うのが安全です。複数の差込口があると、トースターや冷蔵庫といった他の調理家電もつないでしまい、いつの間にか定格容量を超えてしまうことがあります。でも、差込口が1つなら、他の家電と併用することはできませんよね。だから、定格容量を超えることはありません。電子レンジの消費電力を確認した上で、購入時に一口コンセントが何Wまで対応しているかを調べましょう。
古くなった延長コードは使わない
2012年に「電気用品安全法」が改正されました。それ以降に製造された延長コードは、品質や安全の面で厳しいチェックを通過した製品です。改正以前の製品に比べると信頼性が高まっています。「PSE」マーク(電気用品安全法の基準をクリアした電化製品に掲示される印)がある製品を選んで買ってください。
パナソニック 電子レンジ 22L フラットテーブル メタルブラック NE-FL222-K
1000Wインバーターの庫内フラット単機能レンジ。インテリアに調和するデザイン。
税込 “27,182”円
延長コードを慎重に取り扱う
延長コードの設置方法や取り扱いには注意が必要です。以下の取り扱いにご注意ください。
- きれいな環境に設置する
- 延長コードを差し込んだまま長く放置しない
- 規格の延長コードを使用する
- 必要最短限の長さで使用する
- 延長コードの取り扱いに注意する
蒸気や湿度、油、塩気が多い場所や高温の場所では使用しないでください。ホコリの多い環境も問題があります。また、高温状態や極度の低温状態も避けましょう。
時々コンセントから抜き差しをしてあげたり、掃除をすることでホコリや湿気が入り込むことを防止することができます。また、結束バンドや針金などで束ねたり、固定しないようにしましょう。
PSEマークの付いた合格品を選びましょう。購入の際には、電気容量も確認してください。
「大は小を兼ねる」とばかりに、必要以上に長いものを選ばないようにしましょう。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- コードの上に重い物を置いたり、扉で挟まない
- 強く曲げたり、引っ張ったりしない
- 足で引っかけないように注意(または、引っ掛からない場所に設置)
- 定期的に掃除や点検をする
点検は以下のポイントを参考にしてください。
点検ポイント
- コードが硬くなっていないか
- 異常に熱くなっていないか
- 少し動かしただけで調理家電の電源が切れないか
- 差し込み口がゆるくなって簡単にプラグが抜けないか
- 変形、変色していないか
- 傷や破損していないか
以上です。
今回は、炊飯器や電子レンジなどの調理家電を延長コードで使う時の注意点をご紹介しました。
電気容量の大きな調理家電には延長コードを用いないことが基本ですが、どうしても延長コードが必要な場合はあるでしょう。そんなときには、十分な注意をしてください。上手に使えば、延長コードは便利なグッズです。
今回の記事で紹介したような注意点を参考に延長コードを選び、お使いください。