最近の日本酒ブームによってご自宅でも日本酒を楽しむ方も多いと思います。寒い時期には、お燗をして温かい日本酒を飲みたくなりますが、皆さんはどのようにして日本酒をお燗していますか?ここでは電子レンジを使ってご自宅で手軽に燗酒を楽しむ方法についてご紹介します。
お燗におすすめの日本酒の選び方についても解説しますので、お酒選びに悩んでいる方もぜひ参考にしてみて下さい。
目次
お酒のお燗って?
お燗とは日本酒を温めて飲むことです。日本酒は温度によって味わいが変化する特徴があり、日本酒を温めることを「お燗する」と言います。お燗することで風味のよくなる日本酒を「燗上がりするお酒」といい、種類ごとに最適な温度があるのです。
お酒のお燗の始まり
お酒を燗にして飲むという習慣の始まりは縄文後期まで遡ります。底がとがった土器を熱くなった灰に突き刺し、お酒を温めていたと言われています。
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平安時代の貴族は秋から冬の寒い時期に燗酒を愉しんでいたようで、庶民の間で飲まれるようになったのは江戸時代の中期と言われています。
燗酒の特徴とは?
燗酒は温めることで冷やや常温では分かりにくい日本酒の味わいを引き出すことができます。口に含んだときの「ふくらみ」や、喉を通るときの「深み」を感じることができます。また、冷やでは飲むペースが早くなってしまいますが、燗酒はゆっくり飲むことができます。ただし、アルコールが体に吸収されるスピードが早いので酔いのまわりは早いので気を付けましょう。
燗酒の種類
燗酒にも温度によって種類があります。
温度 | 徳利などの温度の目安 | 香り | |
日向燗(ひなたかん) | 30℃ | ほとんど感じない | ほんのり香る |
人肌燗(ひとはだかん) | 35℃ | 若干温かさを感じる | ふくらみのある米や麹の香りがする |
ぬる燗 | 40℃ | 熱くない程度 | 香りがよく分かる |
上燗(じょうかん) | 45℃ | 注ぐと湯気が出る | 引き締まった香り |
熱燗(あつかん) | 50℃ | 徳利から湯気が出る | キレのあるシャープな香り |
飛びきり燗 | 55℃ | 徳利が熱い | よりシャープな香り |
それぞれの温度に最適なお酒がありますので蔵元のおすすめする温度を参考に選びましょう。
電子レンジでお酒をお燗する方法
では、自宅でお燗をするときの方法についてご紹介します。電子レンジでお手軽にお燗する方法もありますが、美味しくお燗するポイントがいくつかありますので覚えておきましょう。
お燗の仕方
- 徳利にお酒を九分目まで入れます。この時徳利の注ぎ口にラップをするとお酒の香りの成分をキープすることができます。
- 鍋に水を張り、徳利を入れ半分まで浸かるように水の量を調整します。
- 徳利を取り出し、鍋に火をかけ、沸騰したら火を止めて徳利を浸します。(ぬるめにしたい場合も温度の低い状態でお燗すると時間がかかりアルコール分が飛んでしまうのでなるべく短時間でお燗するようにしましょう。)
- お酒が徳利の口まで上がってきたら徳利を上げ、底に指をあててみます。やや熱いと感じるくらいが目安となります。(徳利の素材や厚みによって変わりますのでちょうど良い温度を覚えておきましょう)
お酒の種類や人によってちょうど良いと感じる温度は変わってきますので、いろいろ試して自分の好みに合う温度を探してみましょう。またお燗専用に作られた「ちろり」や「燗徳利」などの酒器もありますのでこだわりたい方は購入を考えてみても良いでしょう。
電子レンジでお燗するには?
電子レンジでお燗する場合は、徳利の口をラップをし、お酒1合(180ml)で約40秒(500w)の加熱で人肌燗程度(35℃)になります。
電子レンジの場合、徳利の上の方と下の方で温度差が生まれてしまいますので、20秒温めてから一度取り出し、徳利を軽く振ってから再度温めると均等に温まります。
また、徳利の上から三分の一程度をアルミホイルで包んで温めるとムラなく温めることができますが、電子レンジの機種によってはアルミホイルが使えない場合もありますので必ず確認してから行って下さい。
お燗におすすめの日本酒とは?
最後にお燗して美味しい日本酒の選び方についてご紹介します。それぞれ好みがありますのであくまで目安として覚えておきましょう。
お燗の種類で選ぶ
- 日向燗・人肌燗・ぬる燗
日向燗・人肌燗・ぬる燗のようにほんのり温かさを感じる程度の燗酒は、日本酒のまったりとした味わいを愉しむことができ、甘み・コクをしっかり味わえる温度です。この温度帯でのおすすめは「純米酒」・「本醸造酒」のような精米歩合が低い日本酒です。
精米歩合とは米を磨く度合を表し、米の元の重さに対してどこまで磨いたかの比率となっています。「精米歩合70%」なら玄米の状態から70%の重さになるまで磨いたという意味となり、純米酒や本醸造酒はこの磨きが少なく、元々の米の味を感じやすいお酒となっています。
- 上燗
上燗では湯気から日本酒の香りを感じることができ、日本酒の味わいを強く感じることができます。お米の味わいが楽しめる「純米酒」がおすすめとなります。
純米酒は精米歩合の決まりはありませんが、米と米麹だけを使い、重厚ながら素朴感のある味わいとなります。
- 熱燗
熱燗はお燗の中で最も一般的な温度帯です。甘さが強くなりすぎないように純米酒に醸造アルコールを加えた「本醸造酒」がおすすめです。
本醸造酒は精米歩合70%以下で醸造アルコールを加えることでスッキリとして芳醇な味わいのお酒となっています。
- 飛びきり燗
飛びきり燗はとくにアルコール感が強調されるので、辛口が好みの人向けとなっています。「純米酒」・「本醸造酒」でもっとシャープな香りと辛口感を愉しみたいという方におすすめです。
時間経過とともに温度が下がっていくことでそれぞれの温度帯の味わいを愉しめるのも飛びきり燗の魅力のひとつとなっています。
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味わいで選ぶ
華やかな香りの「吟醸酒」や、フレッシュさが特徴の「生酒」はお燗向きではないと言われています。これらは常温や冷やで飲む方が本来の特徴を愉しむことができるでしょう。燗酒として向いているのはうまみや酸味が強いお酒で、温めることで風味やキレが増します。
お燗して飲むお酒のポイントとして「酸度」があります。酸度とはお酒の味わいに酸味やうまみを与える有機酸の量を表す値で、酸度が高いとコクや辛味を感じやすくなります。
酸度の高いお酒の方が燗酒として適していると言われており、温めても味わいのバランスが崩れにくくなっています。
お酒の種類で選ぶ
日本酒の中で燗酒向きのお酒は純米酒系です。米本来のうまみを引き立たせることができ、味わい深いまろやかさがアップします。辛口が好みの場合は本醸造酒系を高めの温度で燗するとよりシャープな味わいを愉しむことができるでしょう。
「生酛づくり」や「山廃仕込み」などはうまみが強く、熱燗に適していておすすめです。
【まとめ】電子レンジでお手軽にお燗を愉しもう!
日本酒は様々な温度で愉しむことができる世界でもめずらしいお酒です。電子レンジを使えば簡単に温めることもでき、ご自宅でも手軽につくれます。色々なお酒で色々なお燗方法を試して、好みの日本酒で一番美味しく飲める温度を探してみて下さい。