暑い日が続いていますね。
猛暑は熱中症を引き起こして命の危険につながります。それだけでなく、身体がダルくなったり、意識が朦朧としたり、気力が低下したり…。
そんなネガティブな面ばかりを思い起こしてしまう夏の猛暑ですが、現代人の私たちはエアコンがあるおかげで真夏でも快適に過ごすことが可能です。
現代は自宅だけでなく、職場やお店、駅構内や地下鉄のホームまで冷房風で冷やしてくれる便利な時代ですが、
エアコンのない時代にはどのように暑さに対処していたのでしょうか?
電気がない江戸時代の真夏を人々はどのように過ごしていたのでしょうか?
今回は、エアコンのなかった時代の涼のとり方をご紹介します。
エアコンがない時代の暑さ対策
・扇子や団扇を利用
扇子や団扇を使って風を起こし、身体周りの空気を循環させることで、
少しでも涼しさを感じることができました。扇子や団扇は江戸時代より庶民の「オシャレな夏の小物」として定着していました。
・着衣の調整
薄手の衣服を着用することで、体感温度を下げる対策が行われていました。
また、薄手の衣服に冷水を含ませたり、着衣に扇風機の風を当てることで、涼しさを増すことが試されました。
・風通しの良い建物
建物の設計に風通しを良くする工夫が施されていました。
窓を開けることで自然の風を取り込み、建物内の空気を循環させることが行われていました。
・日除けの利用
日中の強い日差しを遮るために、日除けや簾(すだれ)を窓に取り付けることで、室内の温度上昇を抑える対策が行われていました。
・氷を使った涼しい寝具
夏の夜は氷を枕元に置いたり、布団に敷いたりすることで、寝具の涼しさを確保する対策が行われていました。
また、夏の歌舞伎芝居では、水を大量に使った演出「本水(ほんみず)」のある演目がよくかかったそうです。
・涼しい場所への避難
屋外の涼しい場所や川や海などに避難することで、暑さを和らげることが行われていました。
これらの方法はエアコンのない時代において、暑さ対策として一般的に用いられていました。
川岸に縁台を置いて自然の風に当たったり、川のほとりや池の周りなどの水辺に涼を求めて散歩に出かけ、
涼しい風や「滝浴み(たきあみ:滝に打たれたり遊ぶなどして涼を求めること)」や「舟遊び」を楽しむ様子が江戸時代の浮世絵に描かれています。
・身体を冷やしてくれる飲食
水に浮かべて冷やした夏野菜やスイカなどを食べて涼しさを感じるように工夫していました。
冷やして水に浮かべた素麺(そうめん)なども好まれました。いずれも、水をうまく利用していますね。
・それでも暑いときには…
暑くてたまらない非に、日銭稼ぎの職人たちが仕事をサボって部屋で「ふて寝」したり、
湯屋(銭湯)でダラダラと時間をつぶしたりした様子が落語で描かれています。
庶民たちが暮らす長屋全体がだらけている情景を想像すると思わず笑いが込み上げてきますね。
江戸時代を生きた人々は、様々な工夫を施して「エアコンのない時代の真夏」を暮らしていたようです。
風や水を上手に使い、衣装や食べ物や空間を工夫することでオシャレや美味しさや風情を楽しみながら涼をとっていたのです。
それがブームになって多くの人が夏の風物詩を楽しんだり、水辺に人々が集まったりして「文化」をつくっていたことが素晴らしいと思います。
江戸の庶民に習って、私たちも「粋」に夏を過ごしたいものですね。ただし、私たちはエアコンの冷風に当たりながら(笑)。