火災は、すべてを焼き尽くす怖い事故です。ひと昔の火災原因は、ほとんどが火の不始末といわれていましたが、現在は家電による火災が増加傾向にあります。家電火災は、いつどのタイミングで起こるかわからないため、取扱いには十分注意する必要があります。この記事では、現代家電の火災事例と対策を中心に紹介します。現代家電の主な火災原因を理解して、家電の使い方を見直してみましょう。
気をつけて!現代家電の火災は増えている
火災といえば、料理中の火が家に燃え移ったり、ろうそくや煙草の火の不始末が原因であることがほとんどでした。しかし現代は、家電による火災が年々増加傾向にあります。普段使っている家電から突然発火して大火事になるケースがみられますので、家電の取扱いと管理に注意する必要があります。
現代家電の主な火災原因
家電から火災が発生するパターンは、ある程度決まっています。ここでは、現代家電の主な火災原因をみてみましょう。
トラッキング現象
トラッキング現象とは、ブラグとコンセントの隙間に溜まった埃が湿気を帯びることで通電し、電気によって発火する現象のことです。冷蔵庫や洗濯機など常にプラグをコンセントに挿している家電は、トラッキング現象による火災発生率が高いといわれています。ブラグが挿さっていることで発生する火災になるため、いつ・どこで火災が起きるかわからない怖さがあります。
漏電
漏電火災とは、電気コードやコンセント側から電気が漏れて起きる火災です。コンセントの差し込み口が損傷して配線が剥き出しになっていたり、配線がみえた状態のコードを使い続けていると、電気が外に漏れて壁や床などから発火してしまいます。
ショート(短絡)
ショートとは、異なる電流が通る配線同士が交わることで発火する現象のことです。電気がショートすると大量の火花が飛び散り、一瞬で床や壁に火をつけるため、消火が間に合わずに大きな火災に繋がります。劣化・損傷している電化製品やコンセントは、ショート火災の発生率が高いとされています。
電源の切り忘れ/コンセントの抜き忘れ
火の不始末と同様に、家電の電源を切り忘れたり、コンセントを抜き忘れることで火災が発生する恐れがあります。とくに電気ストーブやドライヤーなど、熱を発生させる家電の電源切り忘れは、火災のリスクを高めます。
現代家電の火災事例と対策
現代家電の火災は、誰にでも起こりうる可能性があります。ここでは、上記で紹介した家電火災の主な原因をもとに、実際の火災事例の紹介と対策方法を解説します。
【テレビ火災】
事例:電源コードの損傷によるショート火災
重量があるテレビボードに長期間テレビの電源コードが踏み潰されていたことで、コードの絶縁部分に亀裂が入り、剥き出し状態の配線がショートしたことで火災が発生。
事例からみる対策
電源コードの部分は、漏電やショートを防止するために塩化ビニールやフッ素樹脂などで絶縁保護されています。しかし、絶縁保護は消耗品であり時間とともに劣化します。また、強い力が加わることで損傷し、配線が剥き出しになってしまうのです。掃除や模様替えをする際は、テレビの電源コードがテレビボードの下敷きになっていないかの確認を行うことが大切です。
【電子レンジ火災】
事例:加熱しすぎたことによる出火
加熱時間5分の食品を15分温めたことにより、食品から出火して火災に発展。
事例からみる対策
電子レンジは、温めたい食品にマイクロ波を当てることで加熱する仕組みです。マイクロ波を当て続けると食品が炭化して、最終的に食品から火花が飛び火災にいたります。対策として、食品パッケージに記載がある加熱時間の目安を守ることが大切です。また、加熱時間の目安がわからない場合は、数十秒ずつ徐々に加熱させることで火災を防ぐことができます。
【電気ストーブ火災】
事例:点火中の電気ストーブに衣類が落ちたことで出火
電気ストーブを切り忘れて就寝し、布団がストーブに被さり出火。
事例からみる対策
電気ストーブは、石油ストーブと違って火が発生しないため、手軽で安心なイメージを持たれています。しかし、電気ストーブの表面温度は300℃〜900℃と非常に高く、電気ストーブのそばに布や紙など燃えやすい物を置くと、すぐに発火して火災が起きてしまいます。就寝前に電気ストーブのコンセントを抜いたり、使用中は電気ストーブの近くに燃えやすい素材を置かないことで火災を防ぐことができます。
【IHクッキングコンロ火災】
事例:IHコンロに使用不可の鍋を使ったことで出火
IHコンロでグリル鍋を加熱した途端に白煙がのぼり、その後すぐに出火。
事例からみる対策
IHコンロは使用できる調理器具が決まっており、仮に使用不可の調理器具に加熱すると出火する恐れがあります。また、取り外しが可能な据置き型のIHコンロは、家庭用コンセントで使用できます。取り付ける際に電源コードを強引に曲げて使用すると、絶縁部分が損傷してショート火災を起こす可能性があるため注意が必要です。
【洗濯機の火災】
事例:洗濯機のコンセント部分に埃が溜まりトラッキング火災が発生
長年洗濯機及び周辺の掃除をしておらず、コンセントの差し込み部分に埃が溜まったことによりトラッキング火災が発生。
事例からみる対策
洗濯機は、基本的に移動させることがなく、コンセントを挿した状態にしているため、埃が溜まりやすくなります。また、洗濯機が置かれている場所は湿気が多く、溜まった埃に通電して火災が発生するトラッキング現象が起きやすい環境になります。定期的に洗濯機周辺のゴミや埃を取り除いて、トラッキング現象を防ぐことが大切です。
現代家電の火災を防ぐポイント
家電火災の事例と対策を紹介しました。あなたが普段使っている家電から、火災が発生する可能性はゼロではありません。そこで今度は、家電火災を防ぐためのポイントを解説します。
使用方法を守る
家電製品には、事故や火災を防ぐために使用方法が記されています。使用方法を守ることは、家電による事故や火災を防ぐ1番の方法であり、家電を長持ちさせる秘訣でもあります。】IHコンロは使用可能な調理器具のみを使う】【電子レンジで過度な加熱はしない】など、使用上の注意を守って火災を防ぎましょう。
定期的に点検・清掃をする
テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの大型家電は、基本的に移動させることがほとんどありませんので、掃除をする機会が少ないでしょう。しかし、掃除をしなければ埃が溜まり、トラッキング火災が起きる可能性を高めてしまいます。また、掃除をすることが家電の点検になり、家電の異変に気づいて火災や事故の防止に繋げることができます。家電を使っていく以上は、定期的な点検と清掃が大切です。
異常を感じたら使用を止める
家電に異常を感じた場合は、すぐに使用をやめてコンセントを抜いておきましょう。たとえば、洗濯機や冷蔵庫から異常な音がでた場合は、モーターやファンなどの電気系統に問題が発生している可能性が高く、そのまま使い続けると火花が散ったり、爆発したりと火災が起きてしまいます。実際に、異常を感じたまま家電を使い続けて火災が起きた事例は数多くあるため注意してください。
まとめ
現代家電は、生活を便利で豊かにしてくれる一方で、火災のリスクが潜んでいます。使用方法を守るのは当然ですが、家電火災の原因を理解して、取り扱い方にも十分注意しましょう。